業務効率化の最も大きなメリットは、メインの仕事に注力できるということです。たとえば営業職の場合、メインの仕事は自社製品やサービスを顧客に売ることですが、それだけでは仕事は完結できません。セールスに関わるデータの収集や分析、プレゼン資料の作成や経費精算など、いくつかの付帯業務も行う必要があるでしょう。
このようなセールス以外の業務に必要な時間を削減すると、アポ取りやプレゼン資料作成など営業職としてのメインの仕事に、より多くの時間を使うことができます。業務効率化を実現することで、直接利益を生み出す仕事に注力することができるでしょう。
もう1つの業務効率化によるメリットは、時間に余裕が生まれるため、空いた時間をリフレッシュに使ったり、退社後の時間を有効に過ごしたりできるということです。 空き時間に適度な休息を取ることは、仕事のパフォーマンスをより向上させるのに役立ちます。昼食後に20分程度の仮眠を取れば、午後からの業務によりスッキリとした頭で取り組むことができます。仮眠を取るのが難しい場合は、ゆっくりコーヒーを飲んだり軽いストレッチをしたりするのもおすすめです。続いて、業務効率化を図るための、具体的な方法を見てみましょう。
いつのまにか習慣化していたけれど、あまり重要でない作業はありませんか?たとえば会議の時間を短くしたり、議事録をオンライン上に記してその場で共有できるようにしたりなど、実践できることはないでしょうか。必要のない仕事を無くすには、現状の業務について「何か省けるものはないか」という視点で見直し、無駄な部分に気づくことが大切です。「この業務は必要だろうか?」という問いかけを行い、全体または部分的にでも、取り除くことができないかを考えてみましょう。作業を取り除けるのであれば、業務そのものが無くなるため、もっとも効果的な改善方法となります。
定例会議と進捗会議を週に1回ずつ行っているのであれば、1回にまとめることで、業務効率化をすすめることができます。個別で送信しているメールがあれば、グループで一括送信できないかなど、似たものがあればまとめられないか検証してみましょう。
別の部署で類似した業務を行っているのであれば、それらをまとめて行うと、社内全体の生産性を上げることができます。重複する業務や複数回に分けて行っている業務があれば、1つにまとめて行うことで、業務を効率に行うことができるでしょう。
複数の業務を1つにまとめる方法とは反対に、作業工程を複数回に分割するという方法もあります。たとえば、資料を100枚作成し他部署へチェックに回すという場合、すべて作成してから回すのではなく、10枚ごとなどに区切って回してみてはいかがでしょうか。臨機応変に作業工程を分割することで、後工程の生産性を上げることができるでしょう。
それぞれがどのようなスキルを持っているのか、どんな志向なのかを把握し、適材適所の割り振りを実現することで、より大幅な業務効率のアップにつなげることができます。適材適所を実現するためには、個人のスキルをきちんと見極めるだけでなく、割り振る仕事のことについても、正しく理解しておく必要があります。 それぞれの仕事に適した人材に業務を割り振ることで、業務効率化を進められるだけでなく、生産性の向上や、モチベーションのアップにもつなげることができるでしょう。
資料を作成してチェックを依頼する際は、優先度に応じてチェックの基準を調整しましょう。たとえば社外に出すプレゼン資料であれば、誤りがないか、完成度が高いかなどについてダブルチェックが必要になります。一方、社内で共有するための資料であれば、あまり表現が綺麗でなくてもビジネスに影響することはありません。
それぞれの仕事の優先度に合わせてチェックの基準を調整することで、業務の効率をアップすることができるでしょう。
「決済者が不在で急ぎの案件の処理ができない」などと、困った経験がある人も多いのではないでしょうか。決裁者が不在の場合、何度も電話をしたりメールを送ったりする必要があり、案件の処理に多くの時間がかかってしまうことがあります。そのような場合に備え、権限を持つ確認者や承認者などの数を増やしておくことで、案件の決済処理を円滑に行うことができるでしょう。
組織で行う仕事は、「属人化」という問題を抱えていることがあります。これは、「長年会社にいるお局しかこの仕事は分からない」など、特定の人が業務を担当し、その人しか業務を回すことができない状態になることを指します。 仕事が属人化すると効率が低下するだけでなく、ミスに気づかないまま納品してしまったり部署に不満が溜まったりするなど、さまざまなリスクが発生する原因になります。このような状態を避けるために、できる限り業務をマニュアル化し、仕事の平準化を行うようにしましょう。
資料を作成する際に、社員ごとに異なるフォーマットを使用しているケースが多くあります。社内でバラバラのフォーマットを使用していると、業務の効率を低下させるだけでなく、資料共有の際にスムーズに理解が進まない可能性があります。 特定のフォーマットに慣れている人が他の社員が作成した資料を閲覧すると、たとえ同じことが書いてあっても、内容を理解するのに時間がかかってしまいます、社内では共通のフォーマットを使用するなど、細かい視点からも業務の効率化を考えてみましょう。
業務を効率的に進めるには、処理の流れを把握できる状態にしておくことが大切です。たとえば、「資料をチェックに回したい」というときに、どのようなルートで回せば良いのかを把握できていないと、方法を1から検討しなければならなくなってしまいます。あらかじめワークフローを定義しておき、社員の間で共有しておくことで、効率よく仕事を回すことができるでしょう。
それぞれの社員が個人のスキルを上げることも、業務の効率化には有効となります。たとえばタイピングの速度が上がれば、そのぶん資料作成にかかる時間は短くなります。また、ショートカットキーを使うなど、パソコンの機能をフル活用することでも、業務の効率をアップさせることができます。デュアルディスプレイを取り入れるなど、オフィスの環境面でも業務改善に活かせることはないか検討してみましょう。
既に定型化されている業務で、専門的なスキルを必要としないものについては、ツールを活用し自動化を行ってみましょう。たとえば、Excelを使用することが多い場合には、ドキュメント上の操作を記憶し自動的に実行することが可能となる、マクロ機能を活用するのがおすすめです。社員の勤務状況を自動的に表とグラフでまとめるなど、定型業務にかかる時間を削減することができるでしょう。
業務の効率化を実現する1つの方法として、大手企業を中心に導入が進みつつあるのが、業務の自動化を可能にする「RPA」と呼ばれるロボットソフトウェアです。RPAを導入することで、ロボットソフトウェアによる定型業務の自動的な代行が可能となるため、すでに大手銀行などで年間数万単位の労働にかかる時間の削減に成功しています。
茨城県つくば市では、個人住民税や法人市民税などの対象業務でRPA導入を行い、実際に成果を上げたことが2018年5月に明らかになりました。具体的には、これらの定型作業を行う職員にかかる負荷を79.2%軽減することに成功しており、ツールを開発したNTTグループには多数の問い合わせが入るなど、大きな反響を集めています。
業務の効率化は、必要のない仕事を無くしたり、まとめられる業務はまとめたりなど、さまざまな方法で実現することができます。業務効率化を実現することで、仕事にかかるコストを抑え利益を最大限得られるなど、企業活動の目的を達成することが可能となります。
また、業務の効率化をすすめると、社員がメインの仕事に注力することができ、空いた時間でリフレッシュできるなど、さらなるパフォーマンスの向上を期待することもできます。
大手企業などでは、RPAに対する認知度が高まりつつあり、RPA導入による成果も実際に上がっています。業務の自動化という手段も含め、さまざまな視点から業務の効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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