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有休取得が義務化?有給休暇取得の為に企業が行う準備とは

健康経営ノウハウブログ編集部
2018/10/24 15:30:00

2018年6月29日、働き方改革関連法案が参院本会議で可決されたことに伴い、有給休暇の取得が義務付けられました。定められた内容に違反すれば、罰則の対象となります。施行日は2019年4月1日であり、企業としても早急な対策が必要になるでしょう。今回は、有給休暇取得の義務化における具体的な改正内容をはじめ、企業が行うべき準備・対策について解説します。

 

有給休暇とは

年次有給休暇とは、労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。労働者の心身の疲労を回復して労働力を維持させることはもちろん、それぞれがゆとりをもった暮らしをできるように、法定以外での一定の休みを付与するものです。

business_168出典:厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署 年次有給休暇とは

 

現行(法改正前)での年次有給休暇は、原則として所定労働日の8割以上、雇い入れ日から継続して6か月勤務した場合に最低10日の年次有給休暇が付与されます。その後、勤続年数が1年継続するごとに一定の日数を加算されたうえで付与され、6年6カ月以降は上限の20日が付与される計算です。

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週所定労働時間が30時間未満の労働者については、勤務日数に応じてそれぞれの継続年数で付与される日数が定められています。すべての労働者にいえることですが、付与から2年間のうちに年次有給休暇を取得しないと消滅してしまうのがポイントです。そのため、年次有給休暇はどんな人でも最大40日間ということになります。

労働基準法第39条第5項では、労働者が指定する時季に年次有給休暇を与えなければならないと定められています。ただし、繁忙期などで業務がスムーズに遂行できないと企業が判断した場合、労働者が指定した時季を変更することができます(時季変更権)。

 

現在の法律上では、企業が労働者に年次有給休暇を「付与」することは義務付けられているものの、「取得」させることは義務付けられていません。つまり、労働者が有給休暇の取得を申し出なければ、そのまま消滅してしまっても会社が法的に問われることはないのが現状です。

 

有給休暇の義務化とは

今回の働き方改革法案の成立に伴い、これまで法的に問われることのなかった有給休暇の取得が義務化になります。年10日以上の有給休暇を付与されている労働者について、最低でも年5日は有給休暇を取得するようにしなければなりません。対象者は、正社員に限らず、パート・アルバイトなど非正規雇用も含め、年10日以上の有給休暇を付与されている人です。

労働者本人の希望による有給取得日数および、計画的付与日数を含めて5日未満であった場合につき、不足分の有給休暇を取得させる義務が発生します。義務化の有給については、労働者の希望する時季を聞き取りし、その候補から企業が指定する形で付与します。

これまでは有給休暇を取得できるタイミングを逃し、思うように有給休暇を消化できていなかった労働者にとっては、「最低年5日は確実に有給を取得できる」というのは大きなメリットといえるでしょう。

 

厚生労働省がまとめた「平成 29 年就労条件総合調査の概況」によれば、2016年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数分は除く)は1人で平均18.2日、そのうち実際に取得した日数は9.0日とのことでした。取得率でいうと、49.4%であり、50%を切っているのが現状です。

世界各国の有給休暇取得率を見ても、日本は非常に低い取得率として知られています。政府は2020年までに有給休暇の取得率を70%にするという目標を立てており、法改正によって有給休暇の取得率アップが望まれます。

 

有給休暇の取得率増加が企業に与える影響

有給休暇が取得することで、会社の運営そのものにダメージがあるのではないかと感じる企業も少なくありません。人材不足も相まって、企業が弱体化するという懸念もあることでしょう。

しかし実際のところ、有給休暇の取得率がアップしたことで好影響があったという企業も多いのが現実です。例えば、主に以下のような例が挙げられます。

 

  • 短時間で仕事が回るように作業の効率化ができた
  • 有給が取得できることで社内の雰囲気も改善された
  • 有給期間に家族との時間を持つことができ、仕事へのモチベーションアップにつながった
  • 社員同士のコミュニケーションが活発になり退職者数も減少した
  • 退職者数の減少に伴い、人材募集のための経費が削減した

 

「有給休暇は、付与されていても実際には取得できない」という、いわば諦めの境地に至っている人も少なくありません。しかし、働き方改革法案の成立で有給休暇の取得率が国内・企業内でアップすれば、その裏で多くの労働者の「やる気」をアップさせることにつながるといえるでしょう。

厚生労働省が作成したパンフレット「働き方・休み方改善指標(H29)」のなかで提示したデータ「年次有給休暇取得率と休暇に対する満足度」では、有給休暇取得率0%の企業では休暇に対する満足度29.6%、取得率30~50%未満では満足度60.5%、取得率100%では満足度73.0%という結果が出ています。実際に多くの労働者が、有給休暇が取得できる環境を望んでいるのが明白です。

労働者がストレスから解放されてリフレッシュする時間を提供することで、社員満足度アップにもつながります。会社全体の労働力を構造させるためにも、企業みずから有給休暇の取得を推進していく必要があるでしょう。business_170 有給休暇の義務化にむけて企業が行う準備

2019年4月の有給休暇の取得義務化に伴い、新たに罰則規定も導入されます。万が一有給取得の義務化となる対象者が年5日以上の有給休暇を消化しなかった・できなかった場合、企業に対して30万円以下の罰金刑が科せられます。

これまでは有給休暇について適切な付与をされていたとしても、繁忙期・各所属部署など社内の業務体制が影響し、すべての対象者がまんべんなく有給休暇の取得をできていなかったという企業もあるかもしれません。しかしこれからは有給を取得すること自体が義務となるため、企業としては対象者が効率よく有給休暇を取得できるような業務体制を構築していく必要があります。

 

一方、企業側が年休時季を指定して計画的に付与した後、労働者が従わず指定日に働いた場合、「企業としては適切に付与したのだから問題はない、罰則の対象にはならない」と考える企業もあるかもしれません。

働き方改革法案の可決後、厚生労働省が示した見解では、計画的に有給を付与しても実際に働いていれば、消化させたことにはならないとのことです。つまり企業としては、付与しただけで終わり、というのではなく「有給を付与し、さらに適切に消化させること」が大きな課題となることがポイントです。

 

そもそもこれまでは、日本では有給を取得することに対して「罪悪感」を抱く労働者も少なくありませんでした。というのも、有給休暇を取得する際、全体の約3分の2の人がためらいを感じるというデータもあります。

例えば以下のような理由が挙げられます。

 

  • 他の社員に迷惑がかかってしまう
  • 会社を休んだ場合、仕事が後回しになるだけで結局多忙になる
  • 上司の顔色をうかがってしまい、有給の取得希望を出しづらい
  • 社内や部署内で有給を取得しづらい環境にある

 

日本人の国民性ともいえる「勤勉さ」が、良くも悪くも大きく影響しているといえるでしょう。有給休暇の取得義務化に伴い、企業がすべき準備として「有給休暇の計画的付与制度」の導入を検討する必要性が考えられます。

 

有給休暇の計画的付与制度とは、現行ですでに制度化されているものです。全付与日数のうち5日を除いた日数分において、労使協定を結ぶことで計画的に有給休暇を付与することができます。

厚生労働省のまとめた「平成25年就労条件総合調査」によれば、計画的付与制度導入企業のほうが未導入企業に比べて有給休暇の取得率が8.1ポイント高いという結果も出ています。つまり、計画的付与が功を奏し、有給休暇が効率よく取得・消化しやすくなると考えられるでしょう。

ここで、大きく3つの計画的付与方法について具体的に解説していきます。

 

①企業もしくは事業所全体での一斉付与

企業全体、または事業所単位で一斉に有給休暇を計画的に付与・取得する方法です。例えば飛び石連休を利用し、ブリッジホリデーにして3・4連休にする、夏季や年末年始などに計画的に大型連休として有給休暇を計画的に付与するなどの方法があります。

企業・事業所で一斉に有給休暇を付与するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 部署内や労働者同士での業務引継ぎコストがかからない
  • 個人的に有給休暇を取得することで感じる罪悪感が軽減する
  • 得意先など関連企業の支障にならないような時季を見越し、効率よく有給休暇を消化できる

一斉に付与する方法が適した業態としては、工場などの製造部門があります。ラインの稼働をストップさせて全体的に休業としたほうが、労働者に余分な負担を与えることなく効率的に有給休暇を付与・消化させることが可能です。

 

②班・グループ別の交代制付与

企業・事業所全体で一斉付与ができる場合、①の方法が最も効率的だといえます。一方で、全体的に操業をストップできないような業態もあるでしょう。例えば、流通・サービス・小売業などが主な例です。

企業内でも部署によって繁忙期が異なるというパターンもあります。この場合、班やグループ別に分け、交代制で付与する方法が適しているでしょう。該当する部署の繁忙期を避け、計画的に有給休暇を付与します。

ブリッジホリデーとして連休を設定する、夏季・年末年始を使った大型連休の設定する場合にも、企業全体ではなく班・グループ別でいくつかの日程を計画的に設定し、それぞれ交代制で有給休暇を付与するという導入例も見受けられます。

流通・サービス業などは定休日自体がほとんどないといった場合も少なくありません。全労働者を一斉に休ませて休業日にしてしまうと、ユーザーや得意先などに迷惑をかけてしまう恐れがあります。休業日を新たに設定することが難しい場合におすすめの計画的付与方法です。

 

③年次有給休暇付与計画表による個人別付与

企業全体・班やグループでの計画的付与が難しい場合、それぞれ労働者個人別で計画的に有給休暇を付与する方法になるでしょう。この場合、個人ごとで年次有給休暇付与計画表を作成することが重要になります。

付与する時季としては、夏季休暇・年末年始・ゴールデンウィークなどの大型連休を個人別で取得するように設定する方法があります。また個人的なイベント日、例えば誕生日・結婚記念日・子どもの誕生日などをアニバーサリー休暇として設定する方法もあります。

特にアニバーサリー休暇では、まわりの社員から有給休暇の取得に対する理解が得やすいとともに、充実した休日を過ごすことにつながるでしょう。ワーク・ライフ・バランスの充実にも近づきます。business_169

ただし計画的に有給休暇を付与するといっても、個人別で取得する場合、現状の業務スタイルからの脱却も重要なポイントになります。計画的に有給休暇を付与されても、仕事が減るわけではないので持ち帰って家で仕事をする、なんてことになれば本末転倒です。

効率よく、そして労働者が気持ちよく有給休暇を取得できるようにする対応策としては、主に以下のようなことが挙げられます。

 

  • 現在の業務内容について詳細を洗い出し、不要な業務・無駄な業務はないか確認する
  • 不要で無駄な業務自体をなくす・なくせるように企業がバックアップする
  • 個人で抱えている業務をなくし、部署内で業務内容を共有する

 

個人的に有給休暇が付与しづらい理由には、「その人しかできない仕事がある」つまり仕事の属人化が大きく影響している恐れがあります。自分にしかできない仕事があることで、やりがいにつながる可能性もあるでしょう。しかし1人の欠員によって部署内外がスムーズに仕事が行えなくなってしまう環境があるのは、企業にも責任があるといわざるを得ません。

 

昨今の深刻な人材不足に伴い、部署内の労働者数そのものが少なくなってしまっているという場合もあるでしょう。まずは業務内容を見直して適切な仕事のみを残すなど、早急に抜本的な改革が必要です。2019年4月の法改正前の今こそ、企業内で現状を見つめ直し、有給休暇を取得しやすい環境づくりに注力していきましょう。

 

まとめ

今回の年次有給休暇の義務化に伴い、企業が注目すべきポイントは、違反した場合の罰則への対策が重要なのではありません。そもそも年次有給休暇は労働者の権利であり、企業が積極的に「年次有給休暇を取得できる社内環境を整えること」が大切なのです。

労働者が気持ちよく年次有給休暇を取得できる組織づくりに注力することで、ひいてはワーク・ライフ・バランスの実現へと近づくことになるでしょう。現在では多くの企業で、人材不足が深刻な問題となっています。優秀な人材確保・定着のためにも、労働者が働きやすい環境づくりが必要です。

 

 

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