「働き方改革」という言葉を聞いたことがあっても、その内容について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。「働き方改革」は私たちの生活に密接に係る法案であり、企業・雇用者双方が一丸となって取り組むべき課題でもあります。この記事では、なぜ政府が働き方改革法案を成立させたのか、その背景と目的、課題について解説していますので参考にしてください。
近年よく耳にするようになった「働き方改革」。政府が「働き方改革」を推進するのには、生産年齢人口の現象や長時間労働の問題、労働生産性の向上など、さまざまな背景があるのです。ここでは、政府が「働き方改革」を促進している理由をご説明します。
【出典】総務省統計局 人口推計(平成30年(2018年)7月確定値,平成30年(2018年)12月概算値) (2018年12月20日公表)
15歳以上64歳以下の年齢の就職者と完全失業者を合わせた人口である労働力人口。人口そのものが減少している日本では、労働力人口の減少が特に懸念されてきました。人口の推計を見る限りでは、今後も労働力人口が減っていくことは避けられません。政府は「働き方改革」を推進することで、多様な働き方を実現し、労働力人口を確保していこうと考えているのです。
日本は世界で見ても長時間労働が横行しています。36協定を結び長時間労働を是正しようとするものの、抜け道があるために問題が深刻化しているのが現状です。この36協定に対して政府が働きかけたことで、一部企業は長時間労働の是正に対する取り組みを始めました。政府は、残業時間の上限規制などによって、過重労働を取り締まろうとしています。
【出典】公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較2016年版
労働生産性の向上は、リーマン・ショック後に落ち込んだ後、先進7か国では最下位となっています。これまでの日本の「長く働けば頑張っていると評価される」という文化も一因と考えられ、こういった考えを全員が一新することが必要とされています。
労働力人口の減少、生産性の向上や長時間労働の是正、非正規雇用の待遇改善、働き方を事情に合わせ柔軟にするなど、日本が抱える問題を改善するための目的で推進される「働き方改革」。一体どのようなテーマで進められて対応策はどのようなものになるのでしょうか。表で表します。
政府が旗振り役となって進めている「働き方改革」にも、課題点はまだ多く残されています。ここでは5つのポイントに分けて、未だ残されている「働き方改革」の課題についてご説明します。
「働き方改革」を進めるには、TOPが「残業時間が浮く」という軽い考え以外の強い目的意識を持って各部署に根回しすることが必要です。また、企業全社員も「残れば残業代が出る」「残れば頑張りが認められる」といった意識を改革していく必要があるのです。
乳幼児を預けるための保育園不足、いわゆる待機児童問題が就労を希望する女性の足かせとなっています。さらに、妊娠・出産・子育て、介護などの負担から、築いてきたキャリアの中断、保有資格を活かしきれないという環境に追い込み、女性の社会進出を阻んでいるのです。
かつて日本では終身雇用の年功序列型人事制度を導入している企業が多く、評価のポイントは勤続年数や年齢などが重要視されていました。しかし、この制度のもとでは、どれだけ努力して企業に貢献しても評価されることは少なく、また不透明で公平性に欠ける基準が、雇用側の不満をためる原因となっているのです。
IT(情報技術)を活用し、会社ではなく自宅で勤務するテレワークを導入する企業が増加してきました。それには、テレワークで就業する従業員の就業規則や勤怠、労働条件といった労務管理の改定が必要です。政府は雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援を進めています。
長時間労働の是正策として時間外労働時間を「原則月45時間、年間で360時間」と定めています。労使で協定を結べば年間720時間の時間外労働が認められていますが、これは休日出勤の労働時間を含んでいません。つまり、忙しいからといって休日出勤をしてしまうと、720時間を超えた労働になる場合もあり得るということです。
長時間労働・正規雇用と非正規雇用格差の是正、女性・若者・高齢者の就労支援、テレワークを活用した就労などで雇用促進を目指しています。これによって生産性を向上させ企業の成長を促しており、政府・企業・被雇用者側の連携が必要になるのです。しかし、課題点が残されていることを忘れてはいけません。
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