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導入する価値は?社員持ち株制度のリスクとメリット

健康経営ノウハウブログ編集部
2018/10/03 15:34:31

社員(従業員)持株制度に関心がないわけでもないが、部内に社員持株制度に詳しい人材もいないから――そう考えて、制度の導入を見送った方がおられるかもしれません。

社員持株制度は、そのメリット・デメリットについてちゃんと理解し、しっかりした事前準備に基づいて制度を作り上げていかなければ、運用が難しくなるケースもあります。

ここでは、社員持株制度のデメリットとメリットを社員・会社のそれぞれの立場からご説明し、実際の運用例などをご紹介しましょう。

 

そもそも社員持株制度とは

社員持株制度というのは、社員に自社もしくはその親会社などの自社取得を奨励する制度のことです。会社が「持株会」を設立し、社員がその会員になって、毎月一定の額を支払い、「持株会」として株式を共同購入します。この会員になるか否かは任意で、必ず「持株会」に入らねばならないわけではありません。

会員は給与天引きのかたちで自社株を購入し、拠出額に応じて配当を得ますが、「持株会」の会員への福利厚生の一環として特別な配慮がなされるケースもあります。社員の自社株取得をサポートするため、奨励金が支給されたり、株式取得資金の貸し付けを行っているケースも少なくありません。さらに、上場していない会社が将来の上場を見込んで、持株会制度を導入しているケースもあります。

銀行に預けても利息がほぼ期待できない現代、資産形成や投資のひとつとして社員役得のある持株制度を利用しているという人も少なくありません。さらに、会社にとっては安定株主を増やす意味合いもあり、会社と社員の双方に大きなメリットのある制度です。

その一方で、持株制度のデメリットについて十分に理解しないまま会員になってしまったという人がいるのも事実。会社は、そのデメリットなどについても説明をつくしたうえで加入の是非を問うべきでしょう。

 

社員側のデメリット

まずは、一般にさほど認知されているとはいえない、持株制度のデメリットについてご説明します。

持株制度のデメリットは、主に次の4つです。

運用の融通がきかない

持株会で保有した株式は、その売却に一定の手続きが必要です。そのため、簡単に売却できず、一度退会してしまうと再度入会することができません。持株会によっては、一部株式の売却が不可能で、運用の融通がきかず、フレキシブルな運用ができません。

毎月の購入額によっては、単元株数に至るまでにかなりの年数が必要であり、会員個々人が株主優待の権利を有していないため、個人で株主優待の権利を有することができません。

 

勤め先の業績に資産まで左右される

もうひとつのデメリットが、社員の資産が勤め先の業績に左右されてしまうリスクがあること。会社の業績が下がってきたとき、給与や賞与をカットされるかもしれないうえに、持株会で購入した株の株価が下がり、資産が目減りする可能性も。業績不振を受けた株価の下落によって、投資した金額を下回ることにもなりかねません。

勤め先が倒産すると、それまでに購入していた株の価値も失って、仕事と資産の両方を失うということにもつながりかねないのです。万が一、会社自体の雇用が維持されたとしても、100%減資されれば、株主としての責任を負わざるをえません。

 

持株会を中途退会する場合は、平均購入価格を下回る可能性もある

持株会を途中で退会しようと考えた場合、保有している株式をその時点での株価で売却することになります。持株会には会社ごとのルールが定められており、そのルールに従って売却しますが、会社によっては、これまでの購入金額より株価が低い場合に損をすることもあります。

 

未上場企業の場合は、非常に流動性が高くなる

未上場企業が将来の上場を見越して、持株会を発足させていることもあります。この持株会で株を購入する株は、上場されなければ流動性が極めて低いもの。市場で売却することもできず、いざというときにも現金化できません。

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会社側のデメリット

一方、会社側のデメリットは、次の3つです。

持株会導入後は、継続的に配当を出し続けなければならない

一度社員持ち株制度を導入すると、会社は、配当を継続的に出し続けなければなりません。未上場企業の場合は特に、株を売却することができず、持株会のリターンは会社による配当だけ。業績が不安定な会社や小規模な会社の場合は、配当を出し続けることで経営を危うくしかねません。

 

社員の保有株式を換金する際、トラブルになる可能性がある

また、社員の退職時などに何らかのトラブルが起こりやすいのもデメリットのひとつ。退職に伴って株式を換金することになりますが、換金時のルールがしっかり定められていないことで社員が不満を抱き、トラブルに発展することがあります。

 

社員が1株以上でも保有していると、株主代表訴訟提起権の行使が可能になる

社員が1株以上の株を保有している際、株主代表訴訟提起権の行使が可能だというのも、会社側のデメリット。少数株主に権利を与えるのを防ぐため、持株会では、議決権を持たない配当優先無議決株主を購入させるといった工夫も必要になるでしょう。

 

制度の設計と継続運用が導入条件

社員持株制度を導入する際は、上述したようなリスクやデメリットにも十分留意しなければなりません。まずは、継続的な運用が可能か否かをしっかり検討したうえで、リスクの少ない制度を設計することです。

制度を設計する際に、配当金を支払う基準を明示し、配当金の見込みがどの程度あるのかを社員に示していくことが必要です。さらに、社員が納得して持株会の会員になれるよう、毎期の経営状態を社員に開示するなどして、社員との信頼関係を築いていきましょう。

こういった取り組みが難しい場合は、株主制度を導入すべきではないかもしれません。さらに、利益がまだ十分でないスタートアップの時期や、配当金を継続的に支給しにくい財政状況であったり、持株会への知識が不十分な場合には、健全な運用ができない可能性があります。あまり無理せず、会社の体勢を整えてから導入することをおすすめします。

 

持ち株制度のメリット

では、上述したようなリスクと天秤にかけても導入を決定する会社が多いのはなぜでしょうか。ここでは、会社側が福利厚生のひとつとして社員持株制度を導入する理由、社員側のメリットを見ていきましょう。メリットは、大きく分けて次の4つです。

 

奨励金などの制度で、時価よりも安く株が買える

上場企業の持株会では奨励金を出しているケースが多く、購入金額の1割ほどを奨励金として給付してくれる会社もあります。これは、その時々の株価の1割引で株を購入できるということ。有利な投資ができるということでもあります

 

給与から天引きされるので、投資を始めやすく少額でもよい

さらに、給与や賞与から一定の額が引き落とされるので、無理せずに投資を始めることができます。少額からでも定期購入でき、投資信託のように中長期的な視点で資産運用できるのが魅力です。

 

業績を上げれば株価も上がるため、仕事へのモチベーションが上がる

勤め先の業績が上がれば、ほぼ必然的に株価も上がります。自分が頑張れば頑張っただけ、業績が上がったら上がっただけ資産も増えると思えば、仕事に対するモチベーションも向上します。

 

(未上場企業の場合)上場されればリターンが大きくなる可能性がある

これは、 未上場企業に限ってのことですが、上場された場合に大きな利益を手にする可能性もあります。上場した際の利益だけで、億単位の利益があったという人もいるほど。持株会の代わりに、ストックオプション(新株予約権)という制度を導入している会社もあります。

 

導入した企業の運用例

では実際の社員持株制度の運用例を見てみましょう。

100%の自社株購入時推奨金

ワンダーネットプラネットやサイボウズは、自社株を購入する際の奨励金を100%に設定したことで知られているソフトウエア開発関連企業です。奨励金の目安は購入金額の5%から20%。その中で100%もの奨励金を設定したのは、とても思い切った取り組みです。社員の頑張り次第で企業価値があがっていくことを見こせるからこそ、こうした制度に踏み切れるのでしょう。

100%の奨励金を出すというのは、毎月1万円分自社株を買おうと考えた場合、会社がさらに1万円を支給してくれて、合計で2万円分積立できるということ。この場合、会社のコストは社員1人あたり年間12万円。人件費がかかるものの、こうした取り組みによって従業員の多くが持株会の会員になったといいます。

それまで全従業員の3割ほどだった持株会の加入が、この制度導入後、9割にまで膨れ上がったのが、サイボウズです。また、若い社員が多く、初めて持株会を導入したというワンダープラネットでも、7割の社員が加入しました。

ワンダープラネットでは、持株制度の説明時にも「独身社員のケース」「家族持ち社員のケース」といったタイプ別に事例を紹介したうえで、持株会のリスクやデメリットなどについても詳しく紹介し、社員からの信頼を得ています。

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まとめ

上場企業の9割以上が導入済みだという、社員持株制度。運用にあたっては、しっかりした制度を作り上げて、そのメリットのみならず、リスクやデメリットについても十分に説明していく必要があります。

社員にとっては、融通がきかなかったり、会社の業績に資産を左右がちだというのがデメリットですが、会社側のリスクは、配当金を出し続けなければならないことなど。しっかりした制度を設計し、運用し続ける財政的基盤がない場合は、社員持株制度の導入を見送るべきです。

反対に、メリットは、奨励金などを活用して少額から中長期的な投資を始められること。さらに、非常に手軽です。仕事へのモチベーションもあがり、会社としてのメリットも大きなものになるでしょう。

導入にあたっては、経営者や人事、経営管理といった部門でしっかり話し合い、社員が納得して加入できるような制度を作り上げていきましょう。

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