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人手不足が全業界ワースト2位の運送業、原因と打開策

健康経営ノウハウブログ編集部
2018/10/11 9:56:55

運送業における目下の問題点は人手不足です。問題の深刻さは、人手不足の問題が全業界ワースト2位にまで陥ったことや、2018年上半期まで5年半の人手不足による累計倒産件数において、運送業がトップに躍り出たことからわかります。2018年上半期には70件の企業が人手不足により倒産しましたが、その内7件を運送業が占める結果となりました。

さらに、運輸・倉庫業では「正社員が不足している」と答えた企業が6割にのぼっています。今回の記事では、運送業が人材不足となる原因を分析し、その打開策を講じます。

人手不足の理由は「労働数の減少」ではなく「労働量の激増」

人手不足に陥る背景には、労働者の絶対数が減少したことも考えられますが、労働者1人にかかる相対的な労働量が増えたことも挙げられます。人手不足による倒産件数のおよそ10%を運送業が占めていることは前述の通りです。運送業の倒産件数は前年度比約2倍に急増していることが帝国データバンクから発表されています。

国土交通省の調査によると、トラックドライバーの人員数そのものは横ばいになっていることが読み取れます。人員数に目覚ましい変化が見られないにもかかわらず、「1人あたり輸送トンキロ」「1人あたり輸送トン」「1人あたり走行キロ」の3つのグラフは、右肩上がりに増加していることを示しています。

 

この結果から、労働者1人あたりの労働量が増えたことが分かりますね。国土交通省の調査は2014年のものですが、今後もこの傾向が強くなることが予想されています。

出典:国土交通省 労働力不足問題について

輸送新聞の調査によると、「車両台数よりも運転者の数が少ない」と答えた企業数が全体の約18.6%を占め、2.3ポイント増加したことが報告されています。例えば、大宝運輸では約400台トラックを保有していますが、その内40台は稼働していません。

 

運送業従事者の4割超が40代以上

若手トラックドライバー数は減少の一途をたどっています。20代ドライバー数は、平成元年から平成23年までの間に、大型トラックで約5分の1に、普通トラックに至っては約3分の1にまで減少しています。グラフを見てみると大型トラックでは約7割、中・小型トラックでは約6割が40代以上のドライバーであることが読み取れます。

出典:国土交通省「労働力不足問題について」

 

2013年時点で、大型トラックドライバーの平均年齢が46.2歳、普通トラックドライバーの平均年齢は44.9歳であることが、国土交通省から報告されています。

出典:国土交通省「自動車運送事業等における 労働力確保対策について」

他業種も含めた全業種における平均年齢は42.0歳となっており、トラックドライバーの平均年齢が若干高めです。こういった実状から、現在の主力層が引退すると更なる人員不足に悩まされる可能性が見込まれます。

 

なぜ20代・30代の若手が運送業から離れているのでしょうか。少子高齢化社会に突入したことで、若手の人数が減ってしまっていることは言うまでもありませんが、他にも理由があります。その1つには運送業が「過酷なわりに給与が安い業種」だという認識が広まっていることが挙げられます。更には、運送業におけるキャリアパスが想像しにくいという点も、若手が敬遠してしまう理由のひとつです。

 

ニーズに対応できない現状と原因

続いて、需要がますます高まる運送業がなぜ利用者側のニーズに対応できないのか、その原因と現状を推察します。

1.通販市場拡大による取扱量増加

通販市場は2007年度において約3.9兆円でしたが、2015年度までで約6.5兆円にまで拡大しました。注文・発送システムを支えているのが運送業ですから、通販市場が拡大すればするほど運送業も取扱量が増えていきます。

総収入高も2007年度では約18.9兆円でしたが、2016年度では約20.8兆円にまで増加しました。そして先ほど述べたようにドライバー数そのものは横ばい状態ですから、1人当たりの仕事量が激増していることは自ずと分かります。

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2.積載効率41%という低さ

積載効率とは、理論上積載できる貨物の量に対して、実際にどのくらいの貨物を積載しているのかを数字化したものです。当然100%に近ければ効率よく貨物を運送できていることを示しています。

国土交通省の調査によると、2015年度の段階で積載効率が約41%にまで落ち込んでいることが示されています。つまり、本来であれば2倍以上の量の貨物を積み込むことができるにもかかわらず、それが現実になっていないのです。

「載せている貨物のサイズにまとまりがなく、重ねて積載することができない。」「荷台の上部分は常に空白が目立つ。」など、効率の悪い積載方法は運送業にとって悩みの種でした。この問題への対策として、デッキやボックスなどの商品が開発され、販売されています。

これらは1人で組み立てることができ、尚且つ貨物を空白なく積むことができるものです。ドライバーにとっては効率の良い改善策になるのではないでしょうか。しかし、先ほどの統計を見る限りでは、導入している企業はまだまだ少ないようです。

 

3.「荷待ち」「再配達」など効率悪化

荷待ちとは、ドライバーが貨物積み下ろしの際に車内で待機していることを指し、またそれにかかる時間のことを「荷待ち時間」と呼びます。ドライバー側ではコントロールのしようがなく、無駄な時間と言っても差し支えありません。国土交通省の調査によると、2時間以上の荷待ち時間は28.7%。

出典:国土交通省「荷待ち時間の記録義務付けについて(省令改正)」

 

これまでの記録や経験などから、荷待ち時間が極力減るようなルートを提案するソフトウェアなどもできています。荷待ち時間を「休憩」という区分で扱い、給与が発生しない仕組みを採用している運送会社もあるようですが、効率が悪くなる上に企業のイメージも悪くなる悪循環に陥ってしまいます。

このような現状を打破するために、2017年から「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」が施工されました。

“トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバー毎に、

  • 集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。)
  • 集貨地点等に到着した日時
  • 集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時 

などについて記録し、1年間保存しなければならない。“

出典:国土交通省 報道発表資料

このように義務付けられ、荷待ち時間の分の費用を送り主に請求しやすくなりました。この請求に応じないと国土交通省から荷主側が勧告される仕組みになっています。

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また、国土交通省の調査によると、宅配便のうち約15%は再配達が占めています。

出典:国土交通省「宅配便再配達率は15.0%~平成30年4月期の調査結果を公表~」

利用者にとっては便利なサービスであることに違いありませんが、ドライバーにかかる労力が無駄になってしまうなど、運送業者からすると効率が悪いサービスとも言えます。

アンケート調査の結果、「配達が来ることを承知の上で外出した」「元から不在になる予定だった」が合わせて4割に達しています。再配達になること前提で家を空けている消費者が4割存在するとも言いかえることができますね。企業側だけではなく、消費者側の意識改革も必要であることが窺えますね。

再配達に関わる効率化としては、指定された場所に置いておくサービスの導入や、届ける30分ほど前に予め連絡を入れる、宅配当日にメールで報せる、宅配ボックスを活用するなどの対策を講じることをお勧めします。実際にこれらを導入して再配達率を2%まで下げた企業も存在しており、決して無駄な対策ではありません。

 

就業者を増やせば解決できる問題ではない

通販市場は今後も拡大することが見込まれていますが、それに伴い運送業への需要も高まっていくと想定されます。上記でも述べたように、運送業は圧倒的な人手不足に陥っています。この問題を、ただ闇雲に就業者の絶対数を増やして改善を図ることでは根本的な解決には繋がりません。

雇用者の立場から荷待ち時間の短縮、給与の見直し、福利厚生の充実などの労働環境の改善などを採り入れ、就業者にかかる負担を軽減させることも必要です。有効な改善策の検討と実行によって、残業代や再配達分のガソリン代など無駄なコストを削減することにつながります。

 

運送業界、これからの制度と事業形態

国土交通省は、運送業における安全対策や、若年層・女性が活躍するための取り組みを行っています。ただ、かつて3Kの1つと考えられてきた運送業には、いまもネガティブなイメージが残っているのが実状です。

 

しかし、国がイニシアチブを取る形で様々な取り組みを進めることにより、各企業も現場の改善を進め、ネガティブなイメージを払拭しようとしています。そして、若年層や女性を採用して、人材確保に尽力する企業が出てきています。その取り組みの詳細をご紹介し、これからの運送業界を考察します。

 

業界イメージの改善

運送業界というと、「長時間拘束され、お客様と対面し、きつい肉体労働のわりには給与が安い」というイメージが先行しがちです。

「2018年卒マイナビ大学生業界イメージ調査」では、仕事の魅力、休日・休暇・労働時間の項目についてマイナスイメージがついているという結果が出ています。中でも仕事の魅力について不安を感じている若手が13.4%いるのに対して、休日・休暇・労働時間に不安を覚えている若手は22.1%と、よりマイナスイメージが強いことがわかります。

小口貨物、企業間取引の件数は増加しており、運送業界は今後増収が続いていくことが見込まれています。取り扱う件数が増えているからこそ、今いる人材を大切にする必要があるのです。

 

マンパワーによる調査では、「企業の口コミを調べない」と回答したのは全体の僅か13.3%しかいません。口コミを調べる人は、主に「給与体制」「休日・休暇の取得」「残業時間」に注目しているとの結果が報告されています。

重要視する6項目(給与体制、休日・休暇の取得、残業時間、福利厚生、人間関係・社員の人柄、社風・文化)において、「ネガティブな口コミを見たら応募を止める」と回答している人は全体の2割にのぼっています。特に「人間関係・社員の人柄」項目でネガティブな口コミを見つけると、約44%が応募を止めると回答しました。

現時点で運送業に従事している人の口コミが良ければ良いほど、新人にとっては応募への抵抗感が薄まることは明らかですね。

 

若年層の雇用促進

若手ドライバー数が減少していることは前述の通りです。これを解消するには、企業側が若年層や未経験者も積極的に雇い入れる姿勢を示すことが必要です。例えば、企業説明会を開催するなどして、昇給の仕組みを説明したり、ドライバーから総合職に転じた社員の割合をグラフで説明したりといった対策が考えられます。

このような人材の数が少ない場合は、「社内にはどのようなキャリアプランがあり、いかにそれが魅力的であるか」を明確に説明しましょう。

福利厚生に関する意識については、女性向け求人情報サイト「[en]ウィメンズワーク」が行ったアンケート調査が参考になります。この調査では、求職者の約83%が「福利厚生を重視する」と答えていることが報告されています。その中でも20代は「非常に重視する」と答えた求職者は37%と、他の年代と比べて突出しています(30代は24%、40代は20%)。

福利厚生の充実度が従業員満足度に繋がると言われている時代です。若年層の雇用を狙うなら、福利厚生の面を充実させることは外せませんね。住宅手当や、大型トラックドライバーの免許取得費用を援助するなどの措置があると、求職者は好感を持ちます。

 

女性ドライバーの雇用促進

女性トラックドライバーの人数が少ないことは、雇用側だけでなく消費者側も体感で知っていることでしょう。トラックドライバーとして働いている女性は「トラガール」と呼ばれており、「トラガール促進プロジェクト」なるものまで存在しているのです。

2015年に国土交通省では、男性ドライバー11万人・女性ドライバー4千人について、運転態度にどのような違いがあるのか調査しています。その結果、「安全態度」「エコ運転度」「協調性」の面で女性が男性よりも優れている傾向にあることが判明。急な発進や停止を避け、他人の迷惑にならないよう配慮する面が見られました。

出典:国土交通省 トラガール推進プロジェクト

車を使う業種であるからこそ、安全やエコに気を配っていることをアピールする企業が増えてきています。さらにはお客様が女性だった場合、同性のドライバーが訪問することは安心感につながります。このように、女性をドライバーとして採用するメリットは少なくないと言えるでしょう。

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また、「トラガールを増加させ、活躍の場を広げていくには何が必要か?」という意識調査も過去に行われています。結果を見ると、2位に3倍以上の差をつけてトップとなった答えは「労働条件・労働環境の改善」。

実際にトラガールとして働いている方向けに行ったアンケートでは、「労働時間設定」がトラガールを増やすために必要なことだという結果が出ました。トラックドライバーの労働環境は悪いというイメージは根強いことが窺えます。

これまでもマスコミが報道しているように、運送業の就労実態は問題視されてきました。報道によって改善を求める声が徐々に高まり、少しずつ対策が進められているとはいえ、まだまだ改善の余地があると言えます。

晴れてトラガールになる女性が増えたとしても、短期間で辞める人が多ければ人員不足の懸念は消えません。トイレ・ロッカー・休憩室の整備、時短勤務制度や育児休暇制度を採用するなど、継続して工夫を施すことは必要です。

多様な雇用形態を整えることも、女性にとっては嬉しい制度です。「男性ドライバーの代わりに女性ドライバーを採用すればいい」という安直な考えは問題解決にはなりません。男性とは違う女性の特性を活かした仕事の割り振りなど、将来的に人手不足が解消されるように労働環境を整えるべきです。

 

業務効率向上

厚生労働省では、トラックドライバーが安全に配慮して運転できる時間は「4時間」であると報告しています。このことから、運転開始から4時間が経過する前後に、適宜休憩をとるよう運送業界に推奨しています。

国土交通省によると、トラックドライバーの平均的な労働時間は月に205時間。

ひと月20日働くとすると、1日10時間以上業務に拘束されることになります。これほどの時間をかけなければ、1日の業務が終了しきれないほどの業務量を1人のドライバーが抱えていると言えます。

業界全体が増収傾向にあることを鑑みると、業務効率を向上させなければ労働時間が更に長くなることが自ずと分かるでしょう。対策を取らなければドライバーが疲弊し、配達効率が悪化してしまいます。

 

では、この問題にはどのような解決策があるのでしょうか。1つ目は、拠点を統合することです。これによって物流センター同士を行き来する時間を短縮することが可能になります。

2つ目は、互いの出発地点へと向かう異なる会社の長距離ドライバー同士が、到着地点で空になったトラックを利用することです。

例えば、A社の荷物を持ってA社の支店に行ったトラックがいるとします。空になったトラックはA社の支店と同じ地域にあるB社に向かい、B社の荷物を積んで帰路につく、というイメージです。これを実現するには、A社とB社の業務提携が必要になります。

 

技術の進化による革命

現代社会では、物流に関するシステムを事業協同組合などが構築し、ASPなどを用いて共用することも可能になっています。ASPとはソフトウェアやアプリケーションをインストールしたり、各社に導入したりするのではなく、インターネット上で機能だけを利用するサービスのこと。

これによって開発構築・導入費用が抑えられるようになりました。この物流管理システムを導入することによるメリットは、プランナーに頼らない物流計画の策定、これまでかかっていた無駄なコストの削減、仕入れから出荷までの流れを最適化できるなどが挙げられます。

これまで物流計画は、事業プランナーという有識者に一任するケースが多くありました。これは「この人でなくてはいけない」業務が生まれていたと言い換えることができます。このシステムを導入すると、これまでのデータを基にして「見える化」した適切な物流計画を導き出すことが可能になるのです。

 

「人」に一任していたのは、物流計画だけではありません。倉庫管理・配送管理もこれまでは人を雇っていました。これらにかかる人件費の問題などはシステム導入によって解決できます。

そして倉庫管理・配送管理などがシステム化されることで、仕入れから出荷までの最適な過程を算出することができるのです。最近では、仕入れから出荷までの「サプライチェーン」を一元的に管理する機能を提供するソフトウェアも開発されています。

 

異業界が協力しあう共同配送

運送の約9割をトラックが担っている日本。自治体によっては、中心市街地の路上でトラックが荷捌きをするスペースを設けているところもあります。この荷捌きスペースを確保していない地域では、トラック停車による交通渋滞などが問題視されているケースも見られます。

この問題を解決するには、運送業者だけではなく、自治体や配送先の商店街など、異業界が協力し合って共同荷捌き場を整備することが有効な手段です。更に、同じ市街地の商店街へ届ける際には共同配送・集荷を採り入れ、通行するトラックの台数そのものを少なくすることも効率的な案だと言えます。

 

まとめ

運送業界における人材不足には、若手就業者の減少や通販市場拡大による業務量の増大などが背景にあることが分かりました。業界そのものの収益は高まる傾向にあっても、人手が足りず倒産に追い込まれるケースもあります。

これまでの体制の見直しや、新しい受注システムの開発・導入、スムーズな輸送経路の算出、若手・女性の雇用促進、効率の良い配送方法の検討など課題は山積しています。こうした点を各々の企業が再検討するとともに、社会全体で考えることが、運送業界における人材不足の軽減につながるでしょう。

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