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一億総活躍社会って何?今さら聞けない働き方改革とは

健康経営ノウハウブログ編集部
2018/10/08 9:00:00

働き方改革とは、若年層の減少、育児・出産による離職や親の介護等といった労働人口の減少に歯止めをかけるために国が推し進めている働き方に関する方策です。それまでの環境で働くことが困難になった人達が、個々の状況に合った就業の形を選択できるようにするために考え出されました。この考えに基づく「働き方改革関連法」が、2019年4月1日より順次施行されます。

 

働き方改革とは

生産年齢人口が足りなくなる

日本の高度成長期に大きな寄与をした団塊の世代(1947年~49年頃に産まれた世代を指す)が定年退職を迎え終え約10年。高齢化社会が加速しています。

一方、バブル崩壊後の就職氷河期を経験し、ロストジェネレーションと呼ばれる世代(1993年~2005年頃に就職活動を行った世代)の非正規雇用の問題が表面化。職と収入の不安定さから家族を持つ不安を抱えている人が多くいます。

更に、リーマンショックから起こった不景気、社会情勢や経済面で悩む人が世代を問わず増え、日本の出生率は下降の一途を辿っています。

そのような状況で、労働力の大きなウエイトを占める若年層が減少しているにもかかわらず、会社を定年退職し介護を必要とする高齢者が増えています。また、夫婦共働きも一般化し、妊娠・出産や育児で離職する女性も増加。中年層では、親の介護で転職等を余儀なくされる人も増えている傾向にあります。

このような問題を打開するために、育児や介護をしながら働ける環境を国として整備することが急務になっています。

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出典:我が国における総人口の長期的推移 総務省

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出典:我が国における総人口の推移(年齢3区分) 総務省

 

働き方改革で改善したいこと

国が進めようとしている働き方改革では、以下を始めとする方策が推し進められています。

 

非正規社員の待遇

正規社員と非正規社員の待遇格差の是正を目指しています。企業では、正規社員と非正規社員の間に福利厚生や賃金で明らかな格差が生じていることが多々あります。正規社員と同一の仕事内容を課されているにもかかわらず、非正規社員に対して不合理な待遇格差が生じていることがあるのです。企業が非正規社員に対し、昇給やボーナスを含む賃金や教育・福利厚生の面で均等の待遇をする必要があります。加えて、待遇差について非正規労働者から経営者に説明要求があった場合、経営者が説明する義務も生じます。

 

待遇是正で目指すこと

待遇の是正を行うことで非正規社員の仕事に対する意欲を高める目的があります。働きぶりを給与で示すことで、非正規社員のモチベーションをあげ、高い生産性につながることを期待しています。

正規社員と同内容の仕事をしているにもかかわらず、収入面でも大きな格差をつけられている非正規社員が多くいる現状。労働に対する明らかな対価の差がある場合、低い評価をされている非正規社員の仕事に対する意欲が減少してしまいます。それを防ぐための是正です。

 

いつから法令が施行されるのか?

この待遇是正の義務化は、2020年4月1日から施行されます。

中小企業に関しては、2021年4月1日からの施行になります。

 

高齢者も労働力に

会社を定年退職した高齢者が、長い社会人生活で培った高度なスキルや技能を所有しています。その素晴らしいスキルや経験を活かし、労働人口の減少を防ぐために、年齢に囚われることなく活躍できる場を提供しようという考えもあります。

その一つとして、生涯現役として安定した雇用を促進する動きがあります。60歳を定年と設定している企業に65歳まで制度を延長することを推奨することです。また65歳以降も継続して雇用する企業に対する支援や、助成金の支給も検討することで、企業も高齢者を雇いやすい環境を整えています。

地域のシルバー人材制度を充実させ、就業時間に制限のある高齢者の働く環境整備やハローワークでの再就職の支援チームの充足も強化されます。

 

長時間労働

常態化しつつある長時間労働を規制する法令も働き方改革に盛り込まれています。内容を詳しく見ていきましょう。

 

「36協定」って何?

長時間労働というキーワードを聞くと「36協定」が頭に浮かぶことでしょう。

「36協定(時間外及び休日労働に関する協定届)」は、労働基準法第36条に則った労使間の取り決めのことです。

「36協定」は、残業を規制することが主旨の制度ではありません。予め、時間外労働や休日労働を従業員に課すために、経営者が労働組合等と話し合いをし、双方の合意の下で協定届を労働基準監督署に届け出ています。

法定労働時間である、1日8時間を超える労働を従業員に課している全企業が「36協定」を労使間で締結しています。

1か月で45時間・年間360時間までの残業を許可している「36協定」ですが、「特別条項」という項目が設けられています。これは、労使間の合意があれば、年に6回まで1か月に45時間を超す残業を従業員に課しても良いことになります。

「特別条項」を労使間で締結すれば、上限残業時間が労使間の話合い次第で決まってしまうということです。『「36協定」があるから、過剰な残業をしなくても大丈夫』とは言い切れない状況でした。 

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出典:36協定をご存知ですか? 厚生労働省

 

「36協定」の特別条項を労使で合意してしまうと、法的な時間外労働の制限の取り決めがなかったのが現状です。

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出典:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~ 厚生労働省

 

働き方改革が変える長時間労働

過剰な残業を防ぐために、働き方改革で新たに残業時間の上限が設けられます。

残業時間の上限の原則は、

  • 月間45時間まで
  • 年間では360時間まで

臨時的、かつ特別の事情がなければ、この残業時間を超えることは認められていません。

臨時的、かつ特別の事情で労使が合意する場合でも、次のような制約が設けられています。

  • 総残業時間は年間720時間以内
  • 複数月の残業時間の平均が80時間以内ー休日出勤の稼働時間も包括
  • 残業時間は月間100時間未満であることー休日出勤の稼働時間も包括

原則の月間45時間までの残業時間を超えても良いのは、年間で6か月までという制約が加えられています。

 

残業代はどうなるのか

働き方改革で残業は減ったけど…。給与も減ってやる気ダウンにはならないの?

生活に余裕を持たせるために残業をしている人であれば心配になることでしょう。それでも、残業規制は法律で決められたこと。企業も従業員の残業に今以上に気を遣うことになるでしょう。

企業の特別な取り組みがなければ、残業代は減ります。 残業代で家計をやりくりしていた従業員にとって、残業の規制で手取りの収入が減ってしまう可能性は十分にあります。それでも法律で決められたことです。法令が施行されたら、企業も従業員も法令を遵守する必要があります。

働き方改革の法令で帰宅時間が早くなった際には、次のことを始めてみると良いでしょう。企業が従業員に対して、残業することのデメリットとメリットの説明時にも役に立つはずです。

 

1) 報酬の支払いの有無をチェック

資格取得のサポートや資格を取得した際の報酬支払・賃金アップの制度がないかチェックしましょう。仕事後に、参考書を広げて勉強するのは大変だということは言うまでもありません。しかし、資格を取得することで賃金アップや報酬の支払いが望めるのであれば、その制度をフルに活かしましょう。資格を取得することで、より専門性があり、やり甲斐を感じられる仕事を任せてもらえるかもしれません。

また、ストレス解消の時間を多く持つことにより、仕事の生産性を高めることで企業内での査定で高い評価を得られる可能性もあります。ボーナスや賃金アップの可能性も高くなるのではないでしょうか。

 

2) 福利厚生を活用する

所属している企業に福利厚生がある場合、福利厚生を活用してみましょう。給与とは別の非金銭的報酬として、法定外福利でさまざまなサービスを会社は導入しているかもしれません。健康増進やライフサポート、最近ではカフェテリアプランなどで余暇のサービスを受けられるかも知れません。

特に、VDT作業に従事している従業員はPCの前で長時間にわたる作業をしています。必要以上に目を酷使したり、ほとんど歩くこともない生活になっていたりするかもしれません。

そのような場合、早く帰宅した日には健康づくりのためにカフェテリアプランを活用し、提携しているスポーツジムに通いましょう。カフェテリアプランで健康・体力づくりを趣味にしてみると良いのではないでしょうか?

趣味に時間を費やすことで、明日の仕事への活力が湧く効果が期待できます。また、長く仕事を続けることができる心身の健康を維持できる効果も得られるでしょう。

 

3) 家族や友人、ペットと過ごす時間を増やす

家族や必要以上に気を遣わなくてもよい友人、またはペットとの時間を増やし、精神的な癒しや安定を求めても良いでしょう。帰宅後は仕事のことを完全に忘れ、健康管理をすることも社会人として大事なことです。仕事起因のストレスによるストレス疾病に罹患している労働者は年々増えています。過剰な残業を続け、休職や離職、もしくは予期しない重篤な病気にかかる前に心身の健康を保つことも重要です。

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出典:企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績-企業パネルデータを用いた検証 独立行政法人 経済産業研究所

 

4) 企業担当者向け―生活残業の削減を

社員の収入はそのままに、生活残業の削減を図りましょう。特に納期が迫った業務がないにもかかわらず、自ら率先して法定勤務時間後も業務を続け、残業代を得ている従業員もいるでしょう。遊ぶお金が欲しい、生活をするために必要…と色々な事情が背後にあります。生活のために生活残業をしている従業員が企業内にいるかをチェックし、一度、本人と面談をしてみると良いでしょう。

 

生活残業をしている従業員がいるデメリットの例

  • 周囲の従業員の意欲が低減する
  • 長時間残業となるため健康上の問題が発生する場合がある
  • 企業が支払う残業代が増加する 等

 

生活残業代目当ての従業員がいる場合、資格取得等を推奨し報酬で支給する等。残業代に代わる案を導入することも解決策の1つになります。報酬制度がまだ導入されていない場合、生活残業をする社員に支払う残業代を計上してみましょう。生活残業代を削減することで、より充実した福利厚生サービスの導入の可能性が高まります。少ない残業で高い仕事の成果を生む社員にインセンティブ付きの表彰を行う等、社内で案を出し合うことも1つの方法です。

残業代の代替案を考えること。これが収入をそのままに、生活残業の削減をする第一歩になるのではないでしょうか。

 

深刻な労働力不足への対策

深刻な労働力不足への対策として、テレワークの促進が働き方改革に盛り込まれています。テレワークとは、会社に出勤することなく在宅や遠方でインターネット等を介して仕事を行う方法のことです。一定の水準以上の業務遂行能力を持った育児中の母親・父親。親の介護により離職をした社員に仕事を継続させる、または新たな会社で仕事を始められる機会を提供できるようになります。働きたくても、通勤して仕事をするだけの余裕がない人にも、仕事のノウハウや資格をフルに活かしてもらえるのです。

企業側のメリットとしては、ある程度の社会経験のある従業員をテレワークで雇うことで、仕事内容を1から教える必要がなくなります。

「通勤は無理だが、それでもやはり働きたい」。

国としても、諸事情で休職や離職を選んだ勤労意欲のある人に働いてもらうことで、労働人口の増加に一役買ってもらいたい思惑があります。政府は、テレワークを以下のように位置づけています。

“”現在、テレワークは、地方創生、女性活躍等さまざまな観点から政府の政策に位置づけられており、「ニッポン一億総活躍プラン」(H28.6.2)「世界最先端IT国家創造宣言」(H28.5.20)「経済財政運営と改革の基本方針2016(いわゆる骨太方針)」(H28.6.2)、及び「日本再興戦略2016」(H28.6.2)などがあります。“”

引用元:テレワークではじめる働き方改革―厚生労働省

 

加えて、育児休暇や介護離職者に対して行ったアンケートでは、休業・離職者とその上司からテレワークに対して肯定的な回答が多く見られました。

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出典:テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック 厚生労働省

 

実際の取り組み例

国が働き方改革を本格的に施行する前から、アイデアを活かして健全な企業風土づくりを試みている企業もあります。システム開発をはじめとするビジネスに必要なITサービスを展開しているSCSK株式会社は、企業が主体となった働き方改革の成功例です。ここでは、SCSK株式会社の例に学んでみましょう。

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疲弊していた社員

今では働き方改革の成功例の代表格になっているSCSK株式会社。「仕事の質」や「残業時間」に着目する以前(2008年当時)の会社内における月平均の残業時間は35時間でした。年で計算すると420時間。「36協定」の特別条項を盛り込まないと労働基準監督署の指導の対象になりかねません。多くの業種で「残業をする社員は良い社員」という、古い日本の体質が未だに根付いていますが、それが顕著なのがIT業界。扱う商品・サービスが「システム」ということもあり、24時間365日稼動。ほぼ休みなしでメンテナンスや問い合わせ業務等が生じていたとのこと。いつなんどき仕事の依頼が来るか分からない。遅くまで会社に残る社員や体調が悪くても休まない社員が会社組織にとっては有益な社員と思われていました。こういった社内環境から、長時間労働が常態化していたのです。

 

その状態のSCSK株式会社が変わったのが2011年。住友商事の情報システム部門にシステムエンジニアリングをしていた株式会社CSKが合併し、SCSK株式会社が誕生した年です。親会社の住友商事から株式会社SCSKの企業トップとして就任したのが働き方改革の中心人物である中井戸信英会長。中井戸会長は、狭いデスクで従業員が仕事をしている環境や、昼休みにデスクに倒れ込むようにして休む従業員を目の当たりにします。この労働環境に中井戸会長が危機感を持ったことがSCSK株式会社の働き方改革の始まりでした。

 

動き出した働き方改革

中井戸会長就任の翌年の2012年には、フレックス制度・裁量労働制等といった柔軟な働き方が取り入れられています。その結果、一時的に残業時間を減らすことに成功しています。それでも、繁忙期は元通り。柔軟な働き方を取り入れる前の残業時間に戻ってしまいました。この失敗から、このような働き方を取り入れるだけでは真の働き方改革にはならないと教訓を得ています。ここから、SCSK株式会社の働き方改革が本格化しました。

 

スマート・ワークチャレンジ20の策定

2013年には新しい企業方針としてスマートワーク・チャレンジ20を打ち出しました。この方針では、まず月間20時間の固定残業代を個々の社員に支払うと決めています。その上で、取得目標を掲げた年次有給休暇・残業時間を達成した組織に、浮いた残業代から特別ボーナスを支給しています。インセンティブ制度を設け、削減できた残業代還元を実現したのです。企業のトップだけが働き方や残業時間の削減を目指しても簡単には機能しません。業界の固定概念・社員の残業代を減らしたくないという思い・他の経営陣からの反発もあったようです。

それでも中井戸会長の考えは変わりませんでした。

  • 心身の健康があること
  • 仕事にやりがいを持つこと
  • それを基盤として、仕事で最高の成果を出すこと

これこそが顧客に満足感を与えられるとブレない軸を持っていたのです。残業代を減らすだけの働き方改革を推し進めようとはしませんでした。中井戸会長は、顧客に対し最高の仕事をするための改革をしようと考えていたのです。

 

スマート・ワークチャレンジ20の効果

スマートワーク・チャレンジ20を企業全体で進めた結果、2016年度には残業時間は18時間にまで減少しました。SCSK株式会社が公表している比較対象の残業時間が2008年度の35.3時間。月に17時間もの残業時間の削減に成功しているのです。

 

企業の本気の取り組み

社員が働き方を変えたいと思っても、経営陣が首を縦に振らなければ実現しません。SCSK株式会社が働き方改革を実現できたのは、企業のトップが危機意識を持って改革に乗り出したからです。意識の改革は企業側からしなければ成功しないということです。

SCSK株式会社に赴任した当時、中井戸会長は「業績の悪化も覚悟の上。将来必ず回復する」。強い信念を口にしています。長時間労働で疲弊した社員が最高のパフォーマンスを顧客に提供できるわけがない。常態化した長時間労働で散漫になっていた業務の割り振りや、粗い製品の品質を良しとしなかった姿勢。目先の利益よりも、まず利益を生み出す社員の心身共の健康を最優先に考えたのです。考えだけにとどまらず、実施できる取り組みを着実に積み重ね、今では企業が実践する働き方改革のロールモデルにまでなっています。

働き方改革の実現は、組織を運営する経営陣のマネジメント能力を問うものなのではないでしょうか。

 

まとめ

近い将来、国をあげて始まる働き方改革。人手不足と言われている企業、大きな負担となっている残業代に悩んでいる企業。働く意欲はあるにもかかわらず、育児や介護で離職や休職を余儀なくされている人。第2の人生でもう1度自分の持っている知識をどこかで活かしたい高齢者。それぞれが問題や悩みを抱えています。

既に働き方改革に着手し、成功を収めている企業も存在します。「こうありたい。こう働きたい」と願っている働き方を実現するということ。それは、社員と企業が共にアイデアを出し合い、失敗しながらも着実に目標に向かっていくことが重要なのではないでしょうか。

国としての働き方改革までもう少し時間があります。

それまでに成功事例から学び、自社で活かせるアイデアを検討する段階が「今」なのでしょう。

 

 

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